Maestro ZHT Product Brochure Japanese

MAESTRO Z シリーズ

細胞の増殖・形態変化・傷害をリアルタイムで 経時的に測定 !

セルベースアッセイは組織や動物実験と⽐較して、コスト⾯・スループット性において優位性があるため広範に使⽤されています。 しかしながら、多くの場合はエンドポイントアッセイに限定され、細胞増殖やキリングの過程でおこる重要なイベントを⾒過ごしが ちです。Axion BioSystems社のMaestro Zシリーズはインピーダンスの変化により、ラベルフリー、リアルタイム、且つ連続して 細胞の変化を測定します。経時的なデータ測定により、⼀度のアッセイで有⽤なより多くの情報が得られます。

インピーダンス測定メカニズム

CytoView-Z プレートの各well内には平⾯電極が埋め込まれています。電極上に細胞を播種し、インピーダンス(Ω)の変化を測 定することにより、細胞の増殖・形態変化・傷害等の評価が可能です。

 

Maestro ZHT live cell analysis plates with cells

 

CytoView-Z 96プレート。各 wellの底⾯に平⾯電極が 埋め込まれている(左)。

 

インピーダンス(抵抗値)はWell内の各電極に微⼩電流を印加することによ り測定されます。電極上に細胞等の遮蔽物が無い場合、電流は容易に電極 を通過しインピーダンスは低くなります。⼀⽅、細胞等により電極が遮蔽 されると電流の電極通過量が減り、インピーダンスが上昇します。⽣細胞 の電極への付着・増殖・細胞間の結合等はインピーダンスを増加させ、⼀ ⽅、細胞死による電極からの剥離等はインピーダンスを減少させます (右図参照)。

capture

 

細胞の微量な構造変化もインピーダンスの変化で検知できます。TEER (経上⽪電気抵抗)やGタンパク質共益受容体等の受容体 媒介のシグナリングもインピーダンスの変化にて検出可能です。

 

細胞の増殖等に伴うインピーダンスの変化

impedance x time

 

① 細胞の接着が無い状態のインピーダンスは低い

② 時間の経過と共に細胞が増殖し、電極が遮蔽さ れてインピーダンスが増加

③ 細胞が電極全体を覆いConfluentな状態になる と、インピーダンスは均衡状態になる

④ 薬物投与により⼀部の細胞が壊死し電極から剥 離するとインピーダンスは減少

 

Maestro Zシリーズによる測定

Maestro Z シリーズによるインピーダンス測定は極めて簡単です。以下の3ステップで測定可能です。

[1] CytoView-Z プレートに細胞播種・培養 [2] ボタン1つでプレートを装着・測定開始 [3] 専⽤ソフトでデータ記録・解析

Maestro Zシリーズではユーザーが実験環境設定・⼤量データの処理と解析等に煩わされることが無いようにシステム設計がなされ ています。測定は簡単なボタン操作とソフトウエア設定のみで⾏います。測定後の⼤量データ解析処理やグラフの作成も付属のソフ トを⽤いて容易に⾏えます。

steps

 

MAESTRO Z シリーズの特徴

button

 

セミ・オートメーション

ハードウエアの操作はボタン1つで⾏います。ボタンを押 すと装置上部のスライドドアが開き、プレートを格納と同 時にデータ測定と温度、CO₂の制御を開始します。

 

ラベル・フリーでの経時的測定

プレート底⾯に埋め込まれた平⾯電極を⽤いてインピーダンス を測定します。細胞にダメージを与えることなく、⻑期間に渡 りリアルタイムで細胞の増殖・形態変化等を測定できます。

 

ユーザーフレンドリーなソフトウエア

専⽤のソフトで、容易に実験設定が⾏えます。リアルタイム でシグナルのモニタリングも可能です。

temp and co2

 

インキュベータ不要

プレート格納部には温度・CO₂コントロール装置が搭載さ れ、ミニ・インキュベータになっています。プレート上で 細胞を培養しながら数⽇間から数週間、安定した状態での 測定が可能です。

 

phone image

 

アプリ対応

専⽤アプリの使⽤で、実験室の外からでもライブ実験デー タ、装置の状況が確認できます。

 

HARDWARE

MAESTRO ZHT

 

system

 

  • 384well、96wellプレート対応
  • 液晶タッチパネル搭載。環境温度、CO₂濃度を表⽰
  • 温度・CO₂濃度コントローラ搭載
  • プレートバーコードリーダー搭載
  • プレート出⼊によるオン・オフ制御(データ測定及び温 度・CO₂濃度コントロール)
  • 装置内データ保存
  • アプリ対応

 

MAESTRO Z

maestro z

 

  • 96wellプレート対応
  • 温度・CO₂濃度コントローラ搭載
  • プレートバーコードリーダー搭載 プレート出⼊によるオン・オフ制御(データ測定及び温 度・CO₂濃度コントロール)
  • 装置内データ保存
  • アプリ対応

 

CytoView-Z プレート

trays

 

CytoView-Z 96プレート電極配置図(左) と中央部窓(右)。

  • SLASフォーマット準拠の96well、384wellプレート
  • CytoView-Z 96プレートのWell中央部には窓(透明部分) があり細胞の 観察が可能

 

 CytoVew-Z 96CytoView-Z 384

電極材質⾦⾦

プレート底⾯材質PETPET

プレートサイズ127.76 x 85.48 mm127.76 x 85.48 mm

Well 間距離9 mm4.5 mm

Well 直径(上部)6.4 mm3.74 mm

Well 直径(底部)5.0 mm2.5 mm

記録部⾯積20 mm24.9 mm2

Well ⾼さ13.2 mm12.98 mm

溶液量 / 1 well396 μL150 μL

中央部窓(透明)サイズ500 x 3000 μm-

 

SOFTWARE

 

Axis Z : リアルタイム・モニタリング 〜解析表⽰まで

desktop

 

  • 専⽤ソフトAxis Zで実験環境設定・データ測定・解析・解析結果のエクス ポートが可能です。
  • 取得されたインピーダンスの変化をリアルタイムでグラフ表⽰します。
  • Cytolysisのグラフ表⽰が可能です。
  • 解析結果は.csvファイルでエクスポート可能です。
  • 直観的で簡単な構成のソフトは、初⼼者の⽅にも安⼼してご利⽤頂けます。

 

colors

 

リアルタイムでインピーダンスの変化をグラフ化。右下はカーソル設定タイムポイントの インピーダンス値を⽰す。

 

enviornment

 

実験環境設定画⾯

 

Maestro Z アプリ

phone and desktop image

 

  • 専⽤モバイルアプリに対応しています。
  • 実験室の外から、実験中のデータをリアルタイムで確認できます。

 

gxp

 

  • GxP対応のアド・オンモジュールです。
  • GxP規制環境下での実験が可能です。

 

APPLICATIONS

がん免疫研究

T細胞によるがん細胞キリングアッセイ

T細胞を⽤いたがん治療は、その⾼い特異性と⾃然免疫を利⽤した⽅法であることから、新たながん治療の有効な⼿法の1つとして 注⽬を集めています。Maestro Zを⽤いて、がん細胞の増殖からT細胞等の免疫細胞によるキリングを、経時的に⻑期間測定するこ とが可能です。

applications 1

 

A: U87MG細胞(グリオーマ細胞)を⽤いて、T細胞による細胞傷害の試験を実施した。細胞播種24時間後に活性化したT細胞を加え、継続してインピ ーダンスを測定した。T細胞を添加した条件下では、インピーダンスの低下がみられた。

B, C: 3種類の細胞播種密度(100,000, 250,000, 500,000 cells/well)でのCytolysis率(細胞傷害率)を⽰す。T細胞とU87MG細胞との⽐率は⼀定(10:1) であるが、細胞播種密度に⽐例して細胞傷害性が⾼くなった(Kill timeが短くなった)。

 

Cytotoxisity (細胞傷害)

抗がん剤による細胞傷害アッセイ

Maestro Zによるインピーダンス測定試験では、薬剤等による細胞の傷害をラベルフリーで経時的に測定します。エンドポイントア ッセイのようなアッセイの繰り返しやアッセイポイントの変更は不要。⼀度の測定で細胞の傷害の全過程を測定し、重要なイベン トを⾒逃しません。

application 2 cytotoxicity

 

A: A549細胞をCytoView-Zプレートに播種し24時間後にドキソルビシン(⽔⾊) 、テルガザイム(オレンジ⾊) 、DMSO(グレー⾊) を添加、継続してイ ンピーダンスを測定した。テルガザイム投与の細胞インピーダンスは0になり(full cytolysis)、⾼濃度(1 uM) ドキソルビシン投与の細胞は時間の経過 と共にインピーダンスが減少した。

B: 薬剤投与30時間後 (A図点線箇所) のインピーダンスを⽰す。1μM ドキソルビシン投与によりインピーダンスの減少が⾒られ、その効果を⽰唆した。

C: テルガザイム投与(100% cytolysis)、薬剤⾮投与(0% cytolysis)を⽤いて算出された1 μM ドキソルビシン条件でのCytolysis率(細胞傷害率)を⽰す。 このグラフから、Kill Time 50%(50%細胞傷害到達時間)が約31時間であったと判別された。

 

TEER (経上⽪電気抵抗)

細胞バリア機能評価

Maestro Zでは、内⽪・上⽪細胞のバリア変化の検出も可能です。細胞バリア機能の変化を、数⽇間に渡り安定した環境で測定で きます。ハイスループット・フォーマットのプレートで⼀度に多彩な検証が可能です。

applications 3 TEER

 

A: CytoView Zプレート上にCalu-3細胞を播種し、イソプレテレノール(100 nM、⽔⾊)、フォルスコリン (10 μM、オレンジ⾊)をそれぞれ投与し たところ、TEERは急激に減少した。続いてCFTR(inh)-172(胞性線維症膜コンダクタンス制御因⼦(CFTR)抑制剤) を30μM、300μMの異なる濃度 で投与したところ、TEERのリカバリーが⾒られ、そのリカバリー速度はCFTR(inh)-172の濃度に依存した (薄⾊線ほど⾼濃度を⽰す)。

B: CFTR(inh)-172投与から5分後 (A図点線箇所) のTEERを⽰す。その抑制作⽤は濃度に依存した。

 

ウィルス研究

抗ウィルス薬スクリーニング

ウィルスによる細胞壊死を数⽇間に渡り、リアルタイムで測定、定量化することが可能です。ウィルス感染価の検証や抗ウィ ルス薬の薬効評価、スクリーニングなどに有⽤です。

application 4

 

A: CytoView-Z プレート上にVero E6細胞を播種し、24時間後SARS-CoV-2ウィルスと抗ウィルス薬剤 (Drug 1, 2, 3, 4) を複数濃度で添加し、イ ンピーダンスを測定した。いずれの薬剤も、⾼濃度化ほど⾼いインピーダンス値 (細胞⽣存率)を⽰した。Drug3, 4の投与では、最⾼濃度で著し いインピーダンスの減少が得られ、強い細胞毒性が⽰唆された

B: コントロールのインピーダンスを表す。ウィルスのみ添加のVero E6細胞 (Infected controls) は低いインピーダンス (細胞死) を⽰し、ウィルス ⾮添加の細胞 (Uninfected controls) は⾼いインピーダンス(細胞⽣存)を⽰した

 

SPECIFICATIONS

仕様

信号記録 通信Maestro ZHTMaestro Z

対応プレートフォーマット96 well, 384 well96 well

インピーダンス記録帯域+/- 5mV (at 1, 10, 41.5 kHz)+/- 5mV (at 1, 10, 41.5 kHz)

インピーダンス記録リピータビリティ+/- (0.5 % + 1 Ω)+/- (0.5 % + 1 Ω)

インピーダンス記録ユニフォーミティ+/- (1 % + 1.5 Ω)+/- (1 % + 1.5 Ω)

サンプリングレート1/1分 (全wellにおいて⾃動)1/1分 (全wellにおいて⾃動)

インピーダンス・ダイナミックレンジ50 Ω〜5 kΩ50 Ω〜5 kΩ

通信イーサネット (1 Gb/s)イーサネット (1 Gb/s)

デバイス容量1 TB500 GB

電源  

AC電圧100〜240 V100〜240 V

AC電流8-4 A8-4 A

周波数50〜60 Hz50〜60 Hz

動作環境  

湿度5〜32 ℃5〜32 ℃

最⼤相対温度〜 80 ℃〜 80 ℃

標⾼〜 2000 m〜 2000 m

その他  

サイズ280 x 452 x 225 mm (W x D x H)280 x 413 x 225 mm (WxDxH)

重量13.9 Kg13.2 Kg

温度・CO2制御  

制御温度範囲室温 + 5 ℃〜46 ℃室温 + 5 ℃〜46 ℃

制御解像度+/- 0.1 ℃+/- 0.1 ℃

推奨CO2圧15 psi (1bar)15 psi (1bar)

最⼤許容CO2圧50 psi (3.5 bar)50 psi (3.5 bar)

制御温度0-10 %. +/- 0.1% 室温 + 5℃〜46℃0-10 %. +/- 0.1% 室温 + 5℃〜46℃

実験マネジメント⾃動バーコードリーダ-⾃動バーコードリーダ-

 

プレート搭載部分(ミニインキュベータ部)

thermal sensors